6月25日放送 「日曜夕方の池上ワールド」を池上ウォッチャーCHIEがレビューしました!

 このレビューを目にしてくださっている方であれば、先日、日経新聞連載の「若者たちへ」で池上さんがマーク・ザッカーバーグ氏のハーバード大学卒業式でのスピーチを2回に渡って取り上げたのは記憶に新しいことと思います。

 果たしてこの番組でも着地点は『そこ』でありました。
 よっぽど池上さんの心を叩く何かがあったのだろうとウォッチャーは思いました。そして、私もそこに最近見失っていたあるものを見つけたのです。それは『社会正義』という言葉でした。

 今回の「日曜夕方の池上ワールド」はトランプ大統領就任後のロシアゲート疑惑と政策実績について解説。
 その中で、「不法移民がアメリカの労働者の仕事を奪っている、不法移民を皆追い出す」との公約を掲げたトランプ大統領により、現在、犯罪歴の無い不法移民であっても徹底的に取り締まりが行われ、次々に逮捕及び強制送還がなされていることを取り上げると、番組はこれに異論を唱えるザッカーバーグ氏のスピーチへと繋げてゆくのです。

 ここからは俯きがちな社会に光を投げ込むような力強いザッカーバーグ氏のスピーチを一読ください。
  『(教師である妻プリシラさんに誘われ)
  僕が少年少女クラブで教えたクラスの話を思い出して下さい
  ある日の授業で、僕は生徒たちに大学の話をしました
  生徒の中で最も優秀な一人が手を上げ、
  「自分は不法移民だから大学に行けるかわからない」と言いました

  去年彼の誕生日に朝食に誘いました
  何かプレゼントをしたかったので 何が欲しいか聞きました
  すると彼は同級生たちが苦しんでいることを話し始め
  「社会正義についての本が欲しいな」と言ったんです

  本当に驚きました
  彼は卑屈な性格になっても当然の状況にいる若者です
  彼が生まれ育った唯一の国アメリカが大学への夢を否定するかもしれない

  でも彼は自分を悲観したりしませんでした
  彼は自分だけのことを考えるのではなく
  より大きな目的意識を持ち みんなのことを思ったのです

  彼の未来を危険にさらしてしまうので名前は明かせません
  どんな未来が待ち受けているか分からない高校生が
  世界を前に進める役割を担おうとするなら 私たちも世界のために役割を担うべきです』

 番組冒頭で世界長者番付のボードが出されました。ザッカーバーグ氏は5位。
 おそらく氏はその類稀なるギフトを美しく咲かせた起業家でしょう。スピーチ中の顔は光溢れ、目はキラキラと輝いていました。また、氏はFacebook株を99%寄付すると明かしています。
 一方で起業家の中には、社会にそして生い立ちに復讐するために富を求める者も少なからず存在します。その人達によって社会にもたらされるものが搾取となりがちなのも否定できません。

 番組では、スピーチ中に触れられた『目的』についても取り上げていました。
  『さて、今日僕は目的について話します
  「目的」とは、僕ら1人1人が、大きな何かの一部だと感じられること
  自分が必要とされ、より良い未来のために頑張っていると感じられることです』

 ザッカーバーグ氏が言いたかったことは、私たちが大きな目的の中に存在すること、循環だったり拡大だったり希望を描ける世界なのだと信じられる社会であること、つまり『社会正義』という言葉を口にした若者がまた『社会正義』と口にすることができる世界を作っていくことではないかと思いました。

 『社会正義』。
 なんだか最近見失っていたような気がしたのは私だけでしょうか。若者の純粋なその一言がザッカーバーグ氏の心を捉え、そのスピーチは世界の人の心を捉えたのです。
 氏が表現した、私たちが『大きな何かの一部である』というのはおそらく間違いなさそうです。