7月2日放送 「池上彰の都議選ライブ」を池上ウォッチャーCHIEがレビューしました!
今回の都議選ライブ、レビューは休載の予定でしたが、豊洲市場でマンホールの文字に遊び心を見つけた池上さんがさかなクンを髣髴とさせるリアクションで「ギョギョッ」と得意気に言い放ち、マグロ卸売場であるはずのその場が一瞬超低温冷凍庫化したこと、また、都知事への直撃取材の車中、池上さんと小池氏が築地・豊洲問題でアウフヘーベンを語るなかマック赤坂氏のプロフィールを挟み込んでくるテレビ東京への敬意を示すべく書き残すことにしました。
話は過去に遡りますが、私には忘れられない光景があります。
平和の象徴を冠した首相が黄色いかりゆしを着て沖縄を訪れた日、「最低でも県外」と叫んで政権奪取したその人を真っ直ぐな瞳で見ていた沖縄の少女の姿。
はて、あれから7年経過したが、何も変わっていない。平和の象徴は「知らなかったんだ」と言いながら飛び去って行った。日本人はあれから少しはアップデートしているだろうか、と。
国政では二大政党政治など言いながら、片方が躓けば『受け皿』と呼ばれる無知の集団が政治に投げ込まれ、今となっては、その潮流は地方政治にまで裾野を広げたけれど、これは新陳代謝と前向きに受け止めるべきか政治の劣化と憂うべきか・・・。
さて、今回の『都議選ライブ』も面白プロフィールや都議会模型、さらには小池都知事へのハコ乗り取材など相変わらずのはしゃぎっぷりで池上さんの表情も心なしか穏やかだったように思えます。
そもそも東京都議会議員とはどのような仕事をしているのでしょうか。ここでおさらいしておきましょう。
都の職員は約16万7,500人。そのほとんどは警察官・消防士・学校関係者であり、いわゆる事務職は3万8,000人とのこと。そしてそのトップに立っているのが東京都知事です。ちなみに都議会は二元代表制を採っており、都知事・都議会議員とも都民から選ばれるため、それぞれが独立・対等でチェックし合う関係であるとのこと。
一方、都議会議員の大切な仕事として予算決めがあります。都知事が予算案を提示し、都議会議員の立場でこれをチェックするという流れです。都の予算は13兆542億円と言われており、これは大阪府の予算の3倍でスウェーデンの国家予算に匹敵するとのこと。
もうひとつがいわゆる条例の作成です。要するに東京都であれば東京都のみに適用されるルールを作成する、これが主な仕事とされています。
ところで今回の都議選の結果は皆さんご存知のとおり、小池都知事の圧勝でありました。
言い換えてしまえば、密封されていた自民党の「驕り、傲慢、暴言、スキャンダル」等が開け放たれただけの話であり、今回の風はその潜在的な要因が自民党にあり、前回の風に乗った議員たちが自ら躓いただけとも表現できます。
しかし、このタイミングでの風はメディアの意図も感じられ、あまり後味の良い選挙ではなかったように思えます。つまり、潜在的要因があった場合、その風の方向がメディアによって簡単にコントロール可能であることが露呈したと捉えることもできるのです。
小池都知事がハコ乗り取材時に印象的な言葉を残していました。
「当選すると自分が素晴らしく、みんなに認められたと思う。」「(天狗に)なる。」そして、「(選挙に)落ちたら犯人捜しをする。」と。
まさしく今の国政に対し、『言い得て妙』なお言葉ですが、私には7年前、いやもっとずっと前からこのループを繰り返しているだけのように思えるのです。そして脳裏にあの少女が浮かび上がってくるのです。
世界に目を向けると、あの超大国アメリカの惨状を見て「政治の質は国民の質」と目を塞いでしまうのですが、おそらく日本でもその言葉は当てはまるのかもしれません。
国民である私たちが議員の動向だけではなくメディアの意図も見逃さないこと、そしてこれから議員として活動される方々には潜在的な要因で躓かぬよう自戒の念を持ち続けて活動に取り組んで欲しいと心から願います。